【新刊案内】馬場弘臣編集兼監修『小田原藩士吉岡家代々由緒書―二三〇年の記録』!!
野の花出版社から相模国小田原藩士吉岡家代々の由緒書「吉岡由緒書」を翻刻しました。本文339頁(図版含む)に解説と編年細目録45頁を加えた総400頁におよぶ史料集です。
吉岡家7代吉岡信之が文久2年(1862)の隠居を機に、初代実疑が大久保家に仕官した寛永19年(1642)以来7代分の事績をまとめ、8代信徳が安政5年(1858)以降を書き継いで明治5年(1872)に至る長大な記録です。
本書の第一の特質は、執筆姿勢の徹底した史実追求にあります。「由緒書」というと先祖の軍功・功績を顕彰するものが多いのですがが、本書はそうした性格と明確に異なります。解説で詳しく述べていますが、先祖の事績のみならず執筆者自身の代の事実をも丹念に記録しようとする姿勢が一貫していて、これが本書を単なる家系記録にとどまらない史料なっています。
第二の特質は内容の豊富さにあります。4代から6代にかけては御賄方の役人を務めており、宝暦から文政期にかけての藩財政・政策に関する記述が詳細に残されています。この時期の小田原藩財政を考えるうえで、他に類を見ない具体的な記録となっています。
さらに幕末期の記録、7代信之・8代信徳の代には、甲州騒動、ペリー来航、京都守衛、禁門の変、天狗党追討、戊辰箱根戦争といった重大事件が、当事者の体験として克明に記されています。これらは激動の幕末維新期における小田原藩士の実態を内側から描く貴重な証言であり、地域史・政治史の双方において一級の史料となっています。
少しずつ紹介しておきますが、とくに譜代藩政史、藩財政史、幕末維新史に興味のある方にはぜひおすすめしたいと思います。価格は税込で4,000円です。よろしくお願いいたします。
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